白い海を辿って。

大学を辞めてから、しばらく外に出られない日々が続いた。

そんなときに母が心療内科を見つけてきてくれて、通うようになった。

薬の助けを借りてなんとか生活できるようになり、元々バイトをしていた倫子さんの理解を得てまた仕事へ行けるようにもなった。


だけど今までのようにバスを使って通うことが負担になっていて、母から免許を取ることを説得された。

誰か1人でもそういう状況を理解してくれる人がいた方がいいだろうと母が早見先生に話をして、他の先生方にはできるだけ話さないでほしいとも言ってくれたはずだった。


だけど先生は早見先生から何かを聞いたようなことを言った。

私のことを聞いて、急に重くなってしまったんじゃないか。

そんな不安は日に日に大きくなり、先生からの連絡が途絶えてから更に大きくなった。


奥さんと話してやっぱり奥さんの方が良かったなんて、今頃そんな風に思っているかもしれない。

ずっとここで待ってる。

そう言った自分の言葉は嘘じゃなくて、紛れもない本心だ。


ずっとここで待ってるから、ここに帰って来てほしい。



< 68 / 372 >

この作品をシェア

pagetop