白い海を辿って。

『なんか最近雰囲気変わったよね、明日実ちゃん。』


倫子さんからそんなことを言われたのは、未だ来ない先生からの連絡に待ちくたびれかけているときだった。



「え、そうですか?」

『うん、どこって言われたら難しいけど、なーんか変わった。』


パソコンに向かっていた椅子をくるっと回して体ごと私の方に向けると、不思議そうに私を見る。



「何も変わってないと思いますけど…」

『外見と言うより内面かな。大人の落ち着きを醸し出してきてるよ、最近。』


大人の落ち着き…。

自分で認めるのもおかしな話だけど、倫子さんのその言葉に妙に納得している自分がいる。


先生は年齢的には大人だけど、こんな私でもどこか放っておけないようなところがあって、先生のことを心配したり考えたりしていると自分が少し大人になった気がするのだ。



「それはちょっとあるかもしれません。」

『ほぉ〜。さては恋愛絡みだな。』

「えぇ!?」


倫子さんの鋭さに驚いてしまったのはその指摘を認めたようなものだった。



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