白い海を辿って。
先生は大好きな人と結婚したはずなのに、その気持ちは4年で消えてしまった。
だから一生とか永遠とか、そんな言葉も全部先生の中から消えてしまったのかもしれない。
私となら大丈夫ですよなんて、言えなかった。
「じゃあ、もう迎えには来てくれないってことですか?」
そんなことは、聞かなくても分かっていることだった。
だから先生は、さっきから絶対に『好き』とは言わない。
それでもその一言が聞きたくて、自信がなくても幸せにできないと思っていても、それでもいいから言ってほしくて。
『ごめん…俺には滝本さんを迎えに来る資格がなかった。』
だけどやっぱり聞けなかった。
だったら電話でもLINEでも良かったのに、わざわざ会いに来てそれを伝えてくれる不器用な律儀さが、私がこの人を好きになった理由だと思った。
「いつかまた会えますか?」
『え?』
「すぐじゃなくても、先生がもう大丈夫って思える日が来たら…また会えますか?」
自信がないから諦めますなんて、そんなの悲しすぎるから。