白い海を辿って。
「自信がないのは私も同じなんです。」
自分を知られるのが怖くて、ずっと向き合うことを避けてきた。
でも先生は、そんな私に最初から自分の状況を包み隠さず話してくれた。
離婚歴があっても、たった1人を幸せにできなくても、私はそんな先生のことが好きだ。
一緒に変わっていきたいと、強くなっていきたいと思うから。
だから先生にこれ以上自分を嫌いになってほしくなかった。
「私はまだ、先生に何も自分のことを話せていません。時間がほしいのは私も同じなんです。」
『滝本さん…。』
誰かをこんなにも繋ぎとめておきたいと思う気持ちが自分の中にあったなんて。
『滝本さんは、本当に優しいね。』
今日初めて呼吸したかのように大きく息をはきながら先生が言う。
その顔が本当に救われたように微笑んだことに、ほっと安心する。
「会いたくなったら、連絡してもいいですか。」
『うん、もちろん。』
また先生と出かけたい。
誰に遠慮することもなく並んで外を歩けるようになる日まで、私はこれからも先生を待っていたい。