白い海を辿って。
『少し前に、偶然滝本さんに会ったって言ってましたよね?』
「え?」
俺と違って気まずさなんて何も感じていないようないつもの明るい声だった。
でも突然出てきた滝本さんの名前に俺1人が動揺している。
「会ったけど、どうして?」
『いや、どこで会ったのかなと思って。今たまたま高嶺さんと滝本さんの話してたんで。』
「あぁ、それなら…」
滝本さんと偶然再会したショッピングモールの話をして、それからその違和感に気付く。
高嶺くんと滝本さんの話…?
今頃?2人で?そんな話するだろうか…と。
『そうなんですね。ありがとうございます。じゃあお疲れ様でした。』
違和感と動揺を1人で感じている俺を残して、青井くんは先に帰ってしまった。
なぜだろう。
言わない方が良かったかもしれないという気持ちがどんどん湧き上がる。
高嶺くんと滝本さんの話をしていたというのが再会した場所を聞く為の口実だったとしたら…
なぜ青井くんは、今頃になって突然滝本さんのことを聞きたがったのだろう。