ふたり
 アキと別れたあの日は


 まるであたしの心を写したかの様な大雨。



 あまりにも突然の別れに

 あたしは呼吸を失った。





 そして今日もあの日と同じ


 どしゃ降りだった。





 「あ…はぁ…っ…」



 …また息ができない…




 「どぉした!?雅ちゃん!?大丈夫か!?雅!!」





 助けて……アキ……








 「…び…!!…みやびちゃん!!」




 「…ア…キ…」


 「残念でした♪俺はアキくんちゃうよ。」


 「…すば…すばる!?」



 目が覚めるとすばるが居た。



 「なんで居るの!?」


 「ん-…不法侵入?」



 やっぱりかっこいい顔で
 すばるが笑う。




 「そっか…電話の途中だったね。
  ゴメンね心配かけて。」


 「んにゃ。かまへん。
  けどびっくりしたやんか♪」



 「何で家知ってんの?」


 「田上くんに聞いた♪」




 あの野郎、人の電話ぶっちしやがって。



 「そっか…」


 「落ち着いた?」


 「うん。ありがとう。」




 なんだ、こいついい奴じゃん。
 誤解してたかも。



 「みやびちゃんさぁ。
  思い出に縛られすぎじゃない?」


 「……………」


 「思い出っちゅ-んはさ、
 縛られる為にあるもんじゃなくて
  創る為にあるんとちゃうかな。
  確かに綺麗な思い出ばっかりじゃないと思う。
  せやけど縛られてたら
  綺麗な思い出まで汚れてまうで?」



 そんなんもったいないやん♪と彼は笑った。





 あたしは、きっとこれから先も
 この言葉を忘れない。



 あなたが言ったこの言葉に

 どれだけの深い意味が込められていたんだろう。


 あたしはこの言葉にすごく救われたよ。


 なのに…


 あたしは最後まで
 あなたの傷を拭う事ができなかったね…


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