毒舌紳士に攻略されて
するとそこに立っていたのは、ケーキの入った箱を持った坂井君そっくりな人だった。
きっと坂井君がもっと歳を重ねたらこうなるんだろうって描いた通りの人――。
間違いない。坂井君は絶対に父親似だ。
ひとり納得してしまうも、どうやらお父さんは私達の話を聞いていたようで、坂井君そっくりに不機嫌そうに表情を歪ませる。
「人にケーキ買いに行かせておいて、それはねぇんじゃねぇの?」
「あ……いや、その……」
私を挟んでの光景に、まるで自分と坂井君を見ているようだった。
やっぱり坂井君は父親似だ。
そしてお母さんは私と似ている部分があるような気がしてならない。
ふたりに挟まれどうしたらいいのか分からない状態でいると、急にお父さんが私に向かって微笑んだ。
「めぐみちゃん、初めまして。元気の父親です」
「あ……はっ、初めまして!」
坂井君と同じ顔で「めぐみちゃん」と呼ばれドキッとしつつも、慌てて頭を下げる。
「遅くなってしまってすまない。本当はちゃんと出迎えたかったんだが、木苺に買い物を頼まれてしまったからね」
顔は笑っているのに、言葉に棘を感じてしまうのは私だけだろうか。
きっと坂井君がもっと歳を重ねたらこうなるんだろうって描いた通りの人――。
間違いない。坂井君は絶対に父親似だ。
ひとり納得してしまうも、どうやらお父さんは私達の話を聞いていたようで、坂井君そっくりに不機嫌そうに表情を歪ませる。
「人にケーキ買いに行かせておいて、それはねぇんじゃねぇの?」
「あ……いや、その……」
私を挟んでの光景に、まるで自分と坂井君を見ているようだった。
やっぱり坂井君は父親似だ。
そしてお母さんは私と似ている部分があるような気がしてならない。
ふたりに挟まれどうしたらいいのか分からない状態でいると、急にお父さんが私に向かって微笑んだ。
「めぐみちゃん、初めまして。元気の父親です」
「あ……はっ、初めまして!」
坂井君と同じ顔で「めぐみちゃん」と呼ばれドキッとしつつも、慌てて頭を下げる。
「遅くなってしまってすまない。本当はちゃんと出迎えたかったんだが、木苺に買い物を頼まれてしまったからね」
顔は笑っているのに、言葉に棘を感じてしまうのは私だけだろうか。