毒舌紳士に攻略されて
ちょっとちょっと!
坂井君ってば一体どんな風に私のことを話したわけ?
付き合ってもいないのに、実家に連れてくる時点でおかしな話だけど。

心の中で文句を言いながらも、言葉に出すことなど出来ずただ坂井君の出方を待つしかない。
坂井君はというと、一瞬私を見たと思ったらすぐに視線を前に戻し、呑気に珈琲を飲む始末。
そんな態度にカチンときながらも、黙っているしかなかった。

「あっ、それ私も気になっていたの。めぐみちゃんなら明日にでもお嫁にきてほしいくらいだわ」

「アハハ……」

つい乾いた笑いが出てしまった。
お母さんの言葉は素直に嬉しいけれど、さすがにそれは無理です。
そもそも坂井君と結婚とか。……ダメだ。全く想像できない。

するとやっと坂井君が口を開いた。

「今すぐとか考えてねぇよ。……それに言っただろ?ただ連れてくるだけだって」

――え?

「それはそうだが、元気が自分で言っていただろう?今すぐにでも結婚してもいい彼女だって」

えぇっ!?

坂井君とお父さんのやり取りにただ驚くばかり。

一体どんな風に私のことを話したのだろう。と気になったものの……。

さっきのお父さんの言葉が頭をよぎる。
< 104 / 387 >

この作品をシェア

pagetop