毒舌紳士に攻略されて

坂井君の両親は絶対私が坂井君の彼女だと信じて疑っていないはず。
そんな両親を前にして、いまさらそれを暴露しちゃうんですか！？

しかもどうするのよ！
怖くてもう目の前に座るふたりを見れないんだけど！

カップを持つ手は密かに震え、言葉が出ずに口をパクパクさせては坂井君を見つめるしか出来ずにいると、坂井君はそんな私を見てか、可笑しそうに「ふっ」と笑いを漏らした。

ちょっとちょっと！私は今、笑えないんですけど！そもそも坂井君も笑っている場合じゃないよね！？
どうするのよこの状況を！
ふたりとも何も言ってこないし。

これからどうしたらいいのか困り果てていると、坂井君はゆっくりと視線を前に戻した。

「それに結婚どころか、佐藤は俺の彼女じゃないから」

えぇっ！？

更に爆弾発言をした坂井君を二度見してしまった。

いよいよどうしたらいいのか分からず、お父さんとお母さんの顔を見れないまま、何を考えているか分からない坂井君を見つめるしか出来ずにいた。