毒舌紳士に攻略されて
毒紳男子の本音？
“佐藤は俺の彼女じゃないから”

爆弾発言からわずか数秒しか経っていないはずなのに、変な汗が背中を伝う。

それでも坂井君を見ていることしか出来ない。
すると、きっと呆気にとられているだろうふたりに向かって坂井君は話を続けた。

「でもふたりに話したのは本当。……俺が佐藤と結婚したいって思っている気持ちは本物だから、今日こうやって連れてきたんだ」

そう話す坂井君の横顔はいつになく真剣そのもので、思わずドキッとさせられてしまった。
その言葉は嘘なのか真実なのか分からない。
でも両親を前にそんな風に言われたら、誰だってときめいちゃうし、嬉しいと思うに決まっている。

「それに耳にタコ状態になるほど言ってたじゃん。結婚したい人ができたらすぐに連れて来いってさ」

「それは……そうだけど」

「めぐみちゃんの気持ちもあるだろう？」

やっと口を開いたふたりの言葉は、当たり前なものだ。

それって一方的なものだし、私の気持ちなんて一切無視したものだし。

お父さんとお母さんが口を開いたことで、やっと私の身体も前を向くことが出来たものの、ふたりは申し訳なさそうに私をチラチラと見ていた。

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