毒舌紳士に攻略されて
自分の両親を前に恥ずかしがることもなく、むしろ清々しいほどの大胆宣言に、私はもちろんお父さんもお母さんも呆気にとられてしまった。

なに、それ。
「絶対にする」とかあり得ない。
どこまでも完璧に私の気持ちを無視しているし！

そう分かっているし、憤りだって感じている。
でもどうしてかな？
それよりも今は、ただ単純に坂井君にドキドキして仕方ない。

ずっと冗談だって思ってた。
だって坂井君みたいな人が私なんか好きになるはずないと思っていたし。
でも意外に優しかったり、急に実家に連れてきたり。……こうやって両親を前にストレートすぎる気持ちをぶつけてくれたり。

さすがにここまでされて、『冗談でしょ？』なんて言えないよ。

自惚れじゃないんだよね？……本当に坂井君は私のことを好きだって思ってくれているんだよね？

何度も自分にそう言いかけると、次第にじわじわと実感が湧いてきて身体中が熱くなっていく。

坂井君に触れている身体の部分が特に熱い。……なのに真剣な坂井君の表情から視線を逸らせない。
どうしたらいいのか分からず状態でいると、なぜかお父さんは急に大きな声を上げて笑い出した。
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