毒舌紳士に攻略されて
こっちはこんなにもドキドキさせられているっていうのに、坂井君ときたら何事もなかったかのように運転に集中しちゃっているし。

「そういえばさっき何か言いかけていたよな?」

「あっ……うん、その場所探ししてもらっちゃって悪かったなって思って……」

ドキドキしていることを悟られないよう話すと、素っ気ない返事が返ってきた。

「別にそんなこと気にすることねぇのに。一々そんな小さなことにまで気を遣ってて疲れねぇの?」

「えっ!べっ、別に疲れはしないけどっ」

私……坂井君のこういうところがけっこう苦手な理由かもしれない。

「第一、男として当たり前のことだろう?女のくせに気にするな」

「女のくせにって……」

確かに坂井君は驚くほど紳士的だ。普段の姿から見ても、女性に対して気を遣ってくれているし。でも世の中の女性全てが喜ぶとは思えない。

「私は場合によっては男も女も関係ないと思うよ?」

「――は?」
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