毒舌紳士に攻略されて
「ちょっと琴美?」

あまりの大笑いっぷりに呆気にとられていると、琴美は声を絞り出すように言ってきた。

「めぐみってば気付いてないわけ?あんた、既に完全に坂井に落ちてるじゃない」

「……え?」

私が坂井君に落ちている?

信じられない話に目が点状態になる。
そんな私に気付いているのか、いないのか分からないが琴美は話を続けた。

「だってめぐみは坂井からの連絡をずっと待っているんでしょ?それって完璧に坂井に落ちてる証拠じゃない」

「そんな……」

全然気にも留めていなかった。
だって散々アプローチしてきたくせに、急に連絡がなくなり、会わなくなってしまったら誰だって気に留めるじゃない?
ただそれだけだと思っていた。仕事を理由に避けられているのかと。
だけどそっか。……それって裏を返せば琴美の言う通り、私はずっと坂井君からの連絡を待っていたのかもしれない。
でもそれって、さ……なんか私が坂井君のことを好き、みたいじゃない?

そこまで考えが達した瞬間、あり得ない感情に慌てて首を大きく横に振った。

「いやいやいや!やっぱないよ!それだけは!!」
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