毒舌紳士に攻略されて
「さっき言ったじゃん?……こういうのはふたりで決めるものだって。なのに俺ひとりで決めちまったからさ」

坂井君……。

「よくよく考えれば佐藤の言う通りだよな。幹事はふたりなのに俺ひとりで決めちまったら意味ねぇのに」

困ったように笑う姿に、なんて素直で純粋な人なのだろうと印象付けられてしまった。
もしかしたら怒っているのもしれない、と思っていたのにな。
怒っているどころか、申し訳ないと感じてくれていたなんて――……。

なにも言わない私の様子を窺うよう、チラチラ見ながらもいまだに視線を泳がせている姿に、つい可笑しく思えてしまい笑ってしまった。

「アハハ!坂井君ってば気にし過ぎだよ」

ただ一言「分かったよ」って言ってくれれば十分だったのに。
ここまで気にされてしまうと、あまりに素直すぎて顔に似合わず“可愛い”とさせ感じてしまう。

「……佐藤もそんな風に笑うんだな」

「あっ……!」

ヤバイ。ついゲラゲラと笑っちゃったけど、笑われている方はいい気持ちにはならないよね。

「ごめん、笑っちゃったりして」

すぐに謝ったものの、意外な言葉が返ってきた。

「なんで謝るんだ?笑顔、意外に可愛いと思ったんだけど」

「……へ?」

やだ。今なんて言った?

< 15 / 387 >

この作品をシェア

pagetop