毒舌紳士に攻略されて
「えっ、ちょっとどうしたのよめぐみ」

急に不可解な行動を起こした私に、琴美は慌て出したものの、そんな琴美に説明するように捲し立てた。

「たっ、確かに坂井君の意外な一面を知っていいなと思えるところもあったよ!?でもそれが全て恋愛に結びつくとは思えないよ。だっ、第一坂井君ってばいきなり嫁になれとか言い出すしさ」

「まぁ……それもそうよね。でもそんなのさ、これからどうなるか分からないじゃない?」

「――え?」

これから?

「そう。これからのことなんて分からないよ。もしかしたらめぐみは坂井のことを本気で好きになるかもしれない。坂井の気持ちだってますます強いものになるかもしれない。……だからね、私は無理に始めるんじゃなくて、自分の気持ちに素直になって行動すればいいと思うな」

ニッと歯を見せて笑うと、いきなり私の背中を何度も叩いてきた。

「変に気負わなくていいの!めぐみが感じた気持ちのまま行動すればいいのよ。まずは前向きになる気持ちが大切なのよ」

前向きになる気持ち……か。

「そうかもしれないね。現に今、琴美の言葉に私はすごく前向きな気持ちになれているし」
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