毒舌紳士に攻略されて
つい口元が緩んでしまう。
「ありがとう、お母さん」
素直にお礼を口にすれば、お母さんは年甲斐もなく照れた様子で、「洗濯物干さないと」と言いながらそそくさと行ってしまった。
そんなお母さんがまたおかしくて笑えてしまう。
「……本当、ありがとうね。お母さん」
誰もいないリビングでそっと口にし、残りのサラダを食べ進めた。
「いってきまーす」
薬もドリンクも飲み準備万端で家を出ると、一気に真冬の朝の冷たい風が身体中を襲ってきた。
「寒い!」
マフラーも手袋もつけているというのに、真冬の寒さには勝てそうにない。
前屈みになりながら家を出たところであることが頭をよぎり、足が止まってしまった。
「……よく来てくれていたよね、わざわざ朝早くからうちまで」
思い出してしまったのは坂井君のことだった。
同期会の下見の次の日から、坂井君は毎朝ここに車を停めて待っていてくれたっけ。
いつも私が家を出てくる前には必ず来てくれていて、私の姿を確認するとわざわざ車から降りてきてくれて、助手席のドアを開けてくれたんだよね。
「ありがとう、お母さん」
素直にお礼を口にすれば、お母さんは年甲斐もなく照れた様子で、「洗濯物干さないと」と言いながらそそくさと行ってしまった。
そんなお母さんがまたおかしくて笑えてしまう。
「……本当、ありがとうね。お母さん」
誰もいないリビングでそっと口にし、残りのサラダを食べ進めた。
「いってきまーす」
薬もドリンクも飲み準備万端で家を出ると、一気に真冬の朝の冷たい風が身体中を襲ってきた。
「寒い!」
マフラーも手袋もつけているというのに、真冬の寒さには勝てそうにない。
前屈みになりながら家を出たところであることが頭をよぎり、足が止まってしまった。
「……よく来てくれていたよね、わざわざ朝早くからうちまで」
思い出してしまったのは坂井君のことだった。
同期会の下見の次の日から、坂井君は毎朝ここに車を停めて待っていてくれたっけ。
いつも私が家を出てくる前には必ず来てくれていて、私の姿を確認するとわざわざ車から降りてきてくれて、助手席のドアを開けてくれたんだよね。