毒舌紳士に攻略されて
でもここは先輩達と同意見だ。
琴美のこと巻き込みたくないし。それに先輩達だって大人だ。きっと少し私に罵声を浴びせれば気が済むだろう。

「琴美、先に上がってて」

「え……?」

「大丈夫だから」

心配させまいと笑顔で言うものの、琴美の表情は一向に晴れる気配がない。
そして何かを決心したように大きく頷くと、真っ直ぐ先輩を見つめて言った。

「すみませんが待たせて頂きます!親友のめぐみになにかあったら大変ですので」

琴美……。

琴美の言葉が嬉しくてジンとしちゃうものの、それはもちろん私だけで先輩達はあからさまに表情を歪めた。

「あら、そう。じゃあ好きにすれば」

「そうさせて頂きます!」

力強く答えると、琴美は「大丈夫だよ」と言うように微笑んできた。

琴美の気持ちは嬉しいけど、大丈夫かな?
私のせいで琴美のまでとばっちりしなければいいんだけど。

そんな考えが頭に浮かぶ中、昨日仕事を押し付けてきた先輩が一枚の紙を私の顔の前に差し出してきた。
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