毒舌紳士に攻略されて
すると坂井君は急に私の腕を掴んだ。
「じゃあとっとと帰るぞ」
「えっ!?ちょっと坂井君!?」
机の上に置いてあった私の貴重品が入った鞄を持つと、さっさと歩き出してしまった。
混乱した頭のままふと振り返ると、琴美がニヤニヤしながら手を振っている。
そして残っている社員達は、ポカンとしたまま私達を見つめていた。
「あっ……!お先に失礼します」
手を引かれながらも挨拶をしていく。
そして総務部を出ると、なぜか坂井君は迷いなく人気の少ない廊下の方へと向かっていった。
「っとに……」
しかもなにやらブツブツと文句を言いながら……。
心なしかブツブツと文句が言われるたびに、手を握る力が強まっている気がする。
それでもなぜか嬉しかった。
こうやって坂井君が、私の手を握ってくれていることが――……。
以前の私からは想像もできないような感情に戸惑いつつも、ドキドキしているのは間違いない。
昨夜素っ気なくされたから?助けてくれたから?
理由を考えてみるものの、どれもしっくりこない。
「じゃあとっとと帰るぞ」
「えっ!?ちょっと坂井君!?」
机の上に置いてあった私の貴重品が入った鞄を持つと、さっさと歩き出してしまった。
混乱した頭のままふと振り返ると、琴美がニヤニヤしながら手を振っている。
そして残っている社員達は、ポカンとしたまま私達を見つめていた。
「あっ……!お先に失礼します」
手を引かれながらも挨拶をしていく。
そして総務部を出ると、なぜか坂井君は迷いなく人気の少ない廊下の方へと向かっていった。
「っとに……」
しかもなにやらブツブツと文句を言いながら……。
心なしかブツブツと文句が言われるたびに、手を握る力が強まっている気がする。
それでもなぜか嬉しかった。
こうやって坂井君が、私の手を握ってくれていることが――……。
以前の私からは想像もできないような感情に戸惑いつつも、ドキドキしているのは間違いない。
昨夜素っ気なくされたから?助けてくれたから?
理由を考えてみるものの、どれもしっくりこない。