毒舌紳士に攻略されて
精一杯の強がりのつもりだったのに、坂井君はますます可笑しそうに、だけどどこか嬉しそうに笑い出した。

「うっわ。なに？それってもしかして俺からの素っ気ないメールでショック受けていたの？」

「……っ！そっ、そんなわけないじゃない！」

素直に認めたくなくて、また可愛げのないことを言ってしまう。
ここで素直に「そうだよ、寂しかった。ショックだった」と言えればいいのに。それが言えないのが私。

長年培ってきた性格は、簡単に直せそうにない。
出会ってまだ一年も経っていないのに、なぜか坂井君は私の性格など熟知しているように接してくるときがある。
現に今がそうだ。

口ではちゃんと否定しているというのに、嘘だってバレている。
そういえば同期会の場所を決めるときも、私の性格を熟知した上で言うように言ってきたっけ。

『一々そんな小さなことにまで気を遣ってて疲れねぇの？』って。
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