毒舌紳士に攻略されて
狭き門を潜り抜け入社した会社は、名前を口にすればほとんどの人が分かるくらい有名な大手の電子部品メーカー。
入社後配属された先は、総務部経理課。
時は十月下旬。
入社して半年以上経った今では、それなりに仕事内容も理解出来てきて、少しずつやり甲斐を感じつつもある。
「やだ。また押し付けられちゃったの?」
席に戻り、早速領収書の山との戦闘モードへ入ろうとした時、周りに聞こえないよう小声で聞いてきたのは、隣の席の同期、黒川琴美だった。
ショコラブラウンに染められたショートカットは、彼女の小顔をより一層強調させていて、大きな目と高い鼻は全てが標準的な私には、羨ましい限りだ。
「まぁね……いつものことだよ」
そんな琴美に苦笑いを浮かべつつ答えると、あからさまに表情を歪ませた。
「あのさめぐみ、いつも言っているけどいくら相手が先輩といえど、断る時はちゃんと断った方がいいよ?でないと、いつまで経ってもズルズルと面倒な仕事を押し付けられるからね」
「……分かってる」
厳しい口調ながらも、それは私のためを思って言ってくれているってことは、ちゃんと分かっている。
入社後配属された先は、総務部経理課。
時は十月下旬。
入社して半年以上経った今では、それなりに仕事内容も理解出来てきて、少しずつやり甲斐を感じつつもある。
「やだ。また押し付けられちゃったの?」
席に戻り、早速領収書の山との戦闘モードへ入ろうとした時、周りに聞こえないよう小声で聞いてきたのは、隣の席の同期、黒川琴美だった。
ショコラブラウンに染められたショートカットは、彼女の小顔をより一層強調させていて、大きな目と高い鼻は全てが標準的な私には、羨ましい限りだ。
「まぁね……いつものことだよ」
そんな琴美に苦笑いを浮かべつつ答えると、あからさまに表情を歪ませた。
「あのさめぐみ、いつも言っているけどいくら相手が先輩といえど、断る時はちゃんと断った方がいいよ?でないと、いつまで経ってもズルズルと面倒な仕事を押し付けられるからね」
「……分かってる」
厳しい口調ながらも、それは私のためを思って言ってくれているってことは、ちゃんと分かっている。