毒舌紳士に攻略されて
自分の気持ちを伝えると、石川君は一瞬驚いたように目を見開いたものの、すぐに表情を緩めた。
そして高校時代、私が大好きだった笑顔を見せてくれた。

「本当はちょっぴり佐藤さんに未練を残したままだったんだ。……でも彼の存在を知ったら、高校時代の俺の気持ちなんてすごく安っぽいものに思えたよ。……こんなこと俺が言えた義理じゃないけどさ、幸せになってね」

「石川君……」

最後にもう一度笑顔を見せると、石川君は同じ会社の子の元へと行ってしまった。

その後ろ姿を見送りながらも、願ってしまった。

どうか石川君も幸せになれますように――って。

でも今の石川君なら、きっと幸せになれるよね。
だってずっと私のことを後悔していたんでしょ？悪いことをしたと思っていたんでしょ？
そんな今の石川君なら、きっと幸せになれるよ。




「めぐみちゃん、本当に毎回毎回ごめんね」

「ううん、気にしないで」

あれから会場内で琴美の姿を探すものの見当たらず。
もしかして……と思いトイレに向かえば、いつもの光景が目に飛び込んできた。
しかも今回はタチが悪く、完全に酔っていて手におえない状態だった。
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