毒舌紳士に攻略されて
当たり前なことを言っているというのに、ますますニヤニヤする琴美に居たたまれない気持ちになる。

「めぐみって意外と乙女チックなんだね」

「どうしてそうなるのよ!」

「だってそうじゃない。私だったら今すぐ坂井に気持ち伝えるな。そうしたら坂井も仕事放り出して飛んできそうだし」

その時の坂井君の様子を想像しているのか「イシシッ」と笑い出した。
そんな琴美に呆れつつ、珈琲を啜っていると落ち着いたのか、一息吐くと急に真面目な顔をして言い出した。

「でも坂井なら私も大賛成だよ。だって絶対裏切らないだろうし、めぐみ一筋って感じだし。なにより全てイケてるからね!」

太鼓判を押すよ!と言うように、私に向かってブイサインをしてきた琴美につい笑ってしまった。

「ありがとう。……正直に話すとまだ坂井君が私のことを好きとか、信じられないんだ」

「えーどうして?あんなに積極的なのに?」

「いや、逆に積極的すぎてあり得ないっていうか……」

全てがいきなりすぎたし。

「まぁ……確かに突拍子もないところはあるよね」
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