毒舌紳士に攻略されて
「でしょ!?」

「分かるかも」と言いながら頷く琴美に、つい声を上げてしまった。

「でもね、私が坂井君を好きって気持ちは変わらないんだ。意外と優しいし、頼りになるし?……なんか可愛い一面もあるし」

「可愛い!?坂井が!?」

「うん……」

そうなのだ。
あぁ見えて意外と坂井君には可愛い一面がある。
例えば幼少期、本気でお母さんのことを好きだったりとか。
例えば嫉妬して、顔を真っ赤にさせちゃうとか……。

「……ちょっとめぐみ。なに思い出してニヤニヤしているのよ」

「嘘っ!ニヤニヤしてた!?」

慌てて表情を引き締めるものの、琴美は呆れたような目で見てくる。

「していましたとも。はいはい、めぐみが坂井のことをどれだけ本気かよーく分かりましたよ。……明日は二人にとって最高の記念日になるわけだ」

最高の記念日、か。

「そうだといいな」

「いやいや、そうなるでしょ!」

何度も気持ちを伝えてくれた。それだけで充分なのかもしれないけれど、やっぱり不安はある。
もしかしたら坂井君にとって私は、遊びなのかもしれない、とか色々考えてしまう。
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