毒舌紳士に攻略されて
それに現在進行形なのにも驚きだ。
でも羨ましいかもしれない。親子で親友みたいな関係なんでしょ?
それってすごく素敵なことだと思うから。

「ちょうどその相談を受けた時は、飲み屋でね。……酒の勢いもあってか、つい言ってしまったんだ。『女は自分を守ってくれる男にはグッとくる』ってね。それをヒントにめぐみちゃんにあんな酷いことをするとは、夢にも思わなかったけどな」

なんて言葉を返したらいいのか分からなくて、ただ相槌を打つしか出来なかった。
お父さんは坂井君の気持ちを信じているのかもしれない。……でも本当は違うんじゃないかな?

坂井君は「気になる子」って言っていたようだけど、本当は「賭けの対象の子」だったんじゃないのかな?
本気じゃなかった。
ただ自分に媚びない女を、落とそうとしただけ――……。
そんな気がしてならない。

『ごめん』

最後にこの言葉を残していったのが、なによりの証拠じゃない?

あぁ、もうダメだな。
気持ちが不安定すぎる。期待したり不安になったり。
気持ちが忙しすぎておかしくなりそうだ。



< 286 / 387 >

この作品をシェア

pagetop