毒舌紳士に攻略されて
まるでジェットコースターに乗っているかのような日々だった。
全てがいきなりすぎて、ついていけなくて。……でも気持ちだけは着実に坂井君に向かっていってしまった。
自分でも驚くほど急速に。

意を決して正直に話したものの、なぜかお父さんは急に我慢できなくなったように、声を押し殺しながら笑い出した。
その光景に、さっきまでビンビンに張り巡らされていた緊張の糸が一気に解け、唖然としてしまった。

え……どうしてお父さんってば笑っちゃっているの?
笑わせるようなことなんて一言も言っていないし、なによりこっちは本気で悩んでいるのに……!

沸々と抱いてはいけない感情が込み上げてきてしまう中、お父さんは「ごめん」と言いながら、笑いを堪え話し出した。

「違うんだ、元気が肝心なことをめぐみちゃんに話していないのかと思ったら、アイツのヘタレさに呆れてしまってね」

肝心なこと?

意味深な言葉に、今度は私の方からお父さんとの距離を縮めてしまう。

「あーあ、本当にあいつはどうしようもねぇな。この際だから教えてあげる。……あのね、元気はずっと昔からめぐみちゃんのことが好きだったんだよ」

「え……昔から?」

そう言うとお父さんはにっこりと微笑みながら、信じられない話を話してくれた。
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