毒舌紳士に攻略されて
でも、いつも思う。“羨ましいな”って――。
正直なところ、二十三年間の人生の中で、彼氏という存在はたったひとりしかいなかったりする。
しかも中学三年生の時だ。
一年生の時、同じクラスになってから気になりだして二年のバレンタインの日に思い切って告白をした。
そうしたらまさかのOKをもらえて付き合えるようになったものの……受験という壁にぶち当たってしまい、あっさり終わってしまった。

彼は勉強ができる人で、県外の進学校への入学が決まった。
私だってそれなりに勉強ができる方だったけれど、彼には及ばなかったし、なにより両親が県外への受験を許してくれるはずもなかった。

クリスマスの日にデートをして、キスをして……。
それから帰り際、まさかの別れ話をされたんだっけ。どうせ別れるつもりだったのなら、キスなんてして欲しくなかった。ましてやファーストキスだったのだから――。

あの時はただ悲しくて悔しくて、それから卒業まで一言も話すことはなかった。
今となっては良い思い出にすることができているけれど、それはきっとそれ以降、私に彼氏という存在ができていないからかもしれない。
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