毒舌紳士に攻略されて
それでもお父さんは善は急げと言わんばかりに、両手に二人分の荷物を抱え、歩き出したものだから、後を追うしかない。

「どういうこともなにも、元気に会いたいんでしょ?だから俺が送っていく」

「えっ!?」

「元気なら家にいるから。ここからだと電車やバスより車で行くのが一番早い」

「でっ、でも……!」

もちろん今すぐに坂井君に会いたい。
だからと言ってお父さんに送ってもらうのは、さすがに気が引ける。

だけどお父さんは足を止めることなく、ひたすら駐車場を目指しているようだ。

「いいから!将来、俺の娘になる可愛いめぐみちゃんのためだ。気にすることねぇよ」

むっ、娘って……!

歩きながらも嬉しそうに話すお父さんに、思わず赤面してしまう。
なんというか本当、坂井君はお父さんとよく似ていると思う。聞いている方は恥ずかしい言葉も、こうやって平気で言ってのけてしまうのだから。
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