毒舌紳士に攻略されて
「佐藤……あの時は本当に悪かった。ごめん」

「え……ちょっと坂井君!?」

いきなり頭を下げ出したものだから、慌てて私もカップをテーブルに置き、頭を上げてもらえるよう促すものの、坂井君は頑なにそれを拒否する。

「謝って簡単に許されるとは思っていない。……でも今の俺には、謝ることしかできないから。……本当にごめん」

「坂井君……」

一向に頭を上げる様子はみられない。
時計の秒針が進む音が異様に響く中、私はそっと坂井君の手を握りしめた。
その瞬間、あれほど頑なに頭を上げてくれなかったというのに、勢いよく上げたものだからつい口元が緩んでしまう。

「あのね、正直に話せばやっぱり許せないよ?……でもそれはその……私を好き、だからしちゃったことなんでしょ?」

「え?」

うっ……!思いの外恥ずかしすぎる。
傍から聞いたら自惚れ発言もいいところだ。

「あの……実はお父さんから聞いて」

「はっ?親父!?」

居たたまれなくなり真実を打ち明けた途端、坂井君は驚き一気に顔を近付けて距離を縮めてきた。

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