毒舌紳士に攻略されて
だって幸せなことじゃない?
好きな人とは両想いになれて、さらに好きな人のお母さんにこんなにも優しい言葉を掛けてもらえるなんて――……。
以前実家に連れてこられた時は、冗談半分で将来坂井君と結婚することになったとしても、嫁姑問題は一切心配しなくて済みそうって思ったことがあったけれど、まさにその通りだと思う。
例えこの先、坂井君と結婚することになったとしても、お母さんとならうまくやっていけそうな気がする。

「それとさっきみたいなめぐみちゃんが嫌がること、今後一切させないよう、しっかり言いつけておくからね」

「……は、い」

顔は笑っているというのに、恐怖を感じてしまうのは私だけだろうか?
逆に笑っているのが怖いとさえ思ってしまった。

でも、お父さんとお母さんがいたから私は今の坂井君と出会えることが出来て、そして好きになることができたのだ。
それに偶然ショッピングモールでお父さんと出会えていなかったら、今はなかったかもしれない。
お母さんが初売りに出掛けてくれなかったら、お父さんと会えさえもしれなかったかもしれない。

そう思うと二人は私にとって、恋のキューピッドだ。

いまだにお父さんと言い争いをしている坂井君に、お母さんと顔を見合わせては笑ってしまった。
< 330 / 387 >

この作品をシェア

pagetop