毒舌紳士に攻略されて
優しいから？可愛い意外な一面を持っていたから？……助けてくれたから？

理由なんて正直今もよく分からない。
だけど確かなことは一つだけある。

それは坂井君の魅力にハマってしまっているってこと。
すごく大好きってこと――……。

何気ない仕草や表情にもドキドキさせられてしまう。
そのたびに好きって気持ちが降り積もっていくの。

「めぐみ……」

愛しそうに私の名前を呼ばれただけで、幸せだなって実感してしまう。

毒舌だけど紳士的。
会社では“毒紳男子”なんて呼ばれているけれど、本当は違う。

優しくて一途で可愛くて。
私だけしか知らない彼の魅力は沢山ある。
決して“毒紳男子”という一括りの言葉だけでは、表しきれない。

至近距離のままキスの余韻に浸るように坂井君を見つめてしまっていると、急に視界が反転してしまう。

「きゃっ！？」

背中にはクッションが当たり、そして坂井君超しに見えるのは天井の真っ白なクロス。
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