毒舌紳士に攻略されて
「なっ、なんだよ」

貰ったチョコを握りしめながら問いかけると、めぐみは急に手を伸ばしてきたかと思えば、そっと俺の額に触れてきた。
めぐみの手は思いの外冷たくて、その冷たさに一瞬目を瞑ってしまう。
そしてすぐに目を開ければ、心配そうに覗き込むめぐみの顔を視界が捉える。

「坂井君、顔色悪いよ?」

「――え?」

顔色が悪い?

「心なしか赤い気がしたから、熱があるかと思ったんだけど……」

「……っ!バカ!急に触るなよな!」

カッと体温は上がってしまい、すぐにめぐみから視線を逸らす。

それもそのはずだ。
めぐみは熱があると思ったみてぇだけど、ただ単にめぐみを意識していたとか悟られてたまるか。

「なっ、なにそれ!ただ心配しただけじゃない」

「別に平気だから!どこも悪いとこなんてねぇし」
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