毒舌紳士に攻略されて
げっ。予想通りになってしまった。
琴美不在の今、ここに高橋君が来た理由はやっぱりこれしかないよね。

いくら理不尽なことを言われているとしても、酔いもあってかケンカ腰の高橋君につられて、怒るわけにはいかない。

「琴美は毎回酔って帰っちゃうの。別に私が勝手に帰しているわけじゃないよ？」

さり気なく当たり障りのない言葉を返したものの、高橋君の勘に触ってしまったようだ。

「そんなわけねぇだろ！？」

バンッと机を叩き、興奮状態の高橋君の異変にあれほど騒がしかった室内は、一瞬でシンと静まり返る。

ビッ……クリした。
まさか机を叩くなんて思いもしなかった。
普段とは違い、鋭い目つきで睨まれてしまい無意識のうちに身構えてしまう。
怖い、とさえ感じてしまった。

どうしたらいいのか分からず状態の中、助け船を出してくれたのは高橋君と仲が良いふたりだった。

「おい高橋！お前酔いすぎ！」

「そうだよ、みんな楽しく飲んでいるんだから、雰囲気ぶち壊すなよな」

私と高橋君の間に割って入ってくれ、ホッと胸を撫で下ろしたのも束の間、そのふたりを手で押し退け高橋君はまた詰め寄ってきた。
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