毒舌紳士に攻略されて
「会計はしておくから、適当に解散してくれ。俺と佐藤はここで抜けるから」

少しだけ意味深な言葉を残し、迷いなく引き戸を引くと足早に歩き出した。
その途端、部屋の方からは男女関係なく黄色い悲鳴が聞こえてくる。

やばい。絶対さっきの一言で激しく勘違いされた。

これからのことを考えると変な汗がダラダラと流れる中、レジまで来ると坂井君はスパッと私の手を離すと、勝手に持ってもらっていた私の鞄を漁り出し、集めたお金を取り出した。

うっ……!!さすがは坂井君だ。鞄の持ち主が目の前にいるというのに、断りもなく勝手に漁るとは!

でもつい見つめてしまうのは、会計をしている坂井君の姿。

だけど、さっきのあれは助けてくれた……って解釈してもいいんだよね?

私に罵声を浴びせてきた高橋君に対して怒ってくれた。
最初はただ驚きっぱなしだったけれど、今は違う。……あの場から連れ出してくれて感謝しているし、悔しいけど嬉しいって思っている。
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