毒舌紳士に攻略されて
いつも毒舌な一面を隠すことなく発揮していたけれど、決して怒る人ではなかった。
無礼講と言わんばかりに、同期会でたびたび聞いていても「言いすぎじゃないの?」って思うことを言われている場面も見たことがある。
それでも彼は毒舌で返していて、最後には円満に持っていっていた。
その時はさすがは紳士!さすがは営業部!って思っていたけれど、今日は違う。
自惚れかもしれないけれど、私のために感情をむき出しにして怒ってくれたのが、なぜか嬉しかった。
「佐藤、何してるんだよ。突っ立ってると置いていくぞ」
いつの間にか会計を済ませたのか、既に靴に履き替え呆れたように私を呼ぶ。
「あ……ごめん、会計もっ」
慌ててミュールに履き替え、持たせっぱなしだった鞄を受け取る。
そして店の外に出ると坂井君は立ち止まり、振り返った。
その瞬間、まるで金縛りにあったかのように私の身体も動きを失ってしまい、ただ坂井君を見つめることしか出来なかった。
なのに何も言ってこない坂井君に、どうしても頭を過ってしまうのは、さっきの言葉――。
無礼講と言わんばかりに、同期会でたびたび聞いていても「言いすぎじゃないの?」って思うことを言われている場面も見たことがある。
それでも彼は毒舌で返していて、最後には円満に持っていっていた。
その時はさすがは紳士!さすがは営業部!って思っていたけれど、今日は違う。
自惚れかもしれないけれど、私のために感情をむき出しにして怒ってくれたのが、なぜか嬉しかった。
「佐藤、何してるんだよ。突っ立ってると置いていくぞ」
いつの間にか会計を済ませたのか、既に靴に履き替え呆れたように私を呼ぶ。
「あ……ごめん、会計もっ」
慌ててミュールに履き替え、持たせっぱなしだった鞄を受け取る。
そして店の外に出ると坂井君は立ち止まり、振り返った。
その瞬間、まるで金縛りにあったかのように私の身体も動きを失ってしまい、ただ坂井君を見つめることしか出来なかった。
なのに何も言ってこない坂井君に、どうしても頭を過ってしまうのは、さっきの言葉――。