毒舌紳士に攻略されて
不意をつかれたこともあり、バランスを失った身体はゆっくりと前へ倒れていく。
「遅い」
聞き覚えのある声が聞こえてきたと同時に、身体はある場所へと行きついた。
二日前と同じ場所、坂井君の胸の中に――。
一瞬で感じる彼の筋肉質な胸板と、胸の鼓動。そして柑橘系の爽やかな香り。
みるみるうちに私の身体は熱を帯びていく。
「約束の時間過ぎているんだけど」
でもドキドキしているのも、身体が熱いのもきっと私だけ。
顔を見ていなくても分かる。だって坂井君の胸の鼓動は至って正常だし、身体だって私のように熱くない。声色だっていつも通りだ。
「そんな準備に手間取るほどの女じゃねぇだろ?」
そしてやはりいつも通り毒舌だ。
毒舌なひと言のおかげで、ゆっくりと身体中の熱もドキドキも収まっていき、「ごめんなさい」と謝りながらゆっくりと彼から離れた。
そして顔を上げれば、不機嫌な坂井君の顔が飛び込んでくる。
思わず「ひっ!」と言いそうになるくらいだ。
「それに佐藤さ、さっき俺の姿を確認してそっとドアを閉めただろう?」
「……えっ!?」
「遅い」
聞き覚えのある声が聞こえてきたと同時に、身体はある場所へと行きついた。
二日前と同じ場所、坂井君の胸の中に――。
一瞬で感じる彼の筋肉質な胸板と、胸の鼓動。そして柑橘系の爽やかな香り。
みるみるうちに私の身体は熱を帯びていく。
「約束の時間過ぎているんだけど」
でもドキドキしているのも、身体が熱いのもきっと私だけ。
顔を見ていなくても分かる。だって坂井君の胸の鼓動は至って正常だし、身体だって私のように熱くない。声色だっていつも通りだ。
「そんな準備に手間取るほどの女じゃねぇだろ?」
そしてやはりいつも通り毒舌だ。
毒舌なひと言のおかげで、ゆっくりと身体中の熱もドキドキも収まっていき、「ごめんなさい」と謝りながらゆっくりと彼から離れた。
そして顔を上げれば、不機嫌な坂井君の顔が飛び込んでくる。
思わず「ひっ!」と言いそうになるくらいだ。
「それに佐藤さ、さっき俺の姿を確認してそっとドアを閉めただろう?」
「……えっ!?」