毒舌紳士に攻略されて
擦れた声で放たれた弱々しい声は、私の胸の奥深くまで響いて鳴り止まない。
どうして坂井君が私に好意を寄せてくれているのか分からない。
いまだって正直信じられないし、また昔のように騙されているだけなのかもしれない。
でもいま目の前にいる坂井君を否定することは、私にはできないよ――……。
「……っ分かった!……分かったからお願い。……腕を離して」
さっきから胸が苦しいくらい締め付けられて仕方なくて、もう身体は限界に達していた。
絞るように声を出し切願すると、腕を離してくれ、そしてゆっくりと身体を離していった。
もうやだ。
坂井君相手に、こんなにドキドキしている自分が信じられない。
苦手だし、交際するとか全く頭にないし!……なのにどうしてこんなにドキドキしちゃっているわけ?
どうして了承なんてしちゃったのよ。
これじゃ今日でさようならできなくなっちゃったじゃない。
自分の不甲斐ない言動に激しく後悔していると、急に頭に触れたぬくもり。
そのぬくもりは坂井君の掌だった。
触れる手は、毒舌を吐き出している自分勝手な人のものとは思えないほど優しくて、温かい。
どうして坂井君が私に好意を寄せてくれているのか分からない。
いまだって正直信じられないし、また昔のように騙されているだけなのかもしれない。
でもいま目の前にいる坂井君を否定することは、私にはできないよ――……。
「……っ分かった!……分かったからお願い。……腕を離して」
さっきから胸が苦しいくらい締め付けられて仕方なくて、もう身体は限界に達していた。
絞るように声を出し切願すると、腕を離してくれ、そしてゆっくりと身体を離していった。
もうやだ。
坂井君相手に、こんなにドキドキしている自分が信じられない。
苦手だし、交際するとか全く頭にないし!……なのにどうしてこんなにドキドキしちゃっているわけ?
どうして了承なんてしちゃったのよ。
これじゃ今日でさようならできなくなっちゃったじゃない。
自分の不甲斐ない言動に激しく後悔していると、急に頭に触れたぬくもり。
そのぬくもりは坂井君の掌だった。
触れる手は、毒舌を吐き出している自分勝手な人のものとは思えないほど優しくて、温かい。