毒舌紳士に攻略されて
加えて華の営業部に同期の中ではただひとり配属され、何事にも動じない神経の持ち主でもあり、トーク技術も備えているとか……。
いつの間にか足は止まってしまい、彼の分析をしていると通りかかった女性社員は坂井君の姿を見つけると、私と同じように立ち止まってはコソコソと話し始めた。
「ちょっと坂井さんがいる!」
「いつ見てもカッコイイよね~!我が社の毒紳男子は!」
キャッキャッ言いながら話す彼女達は、紛れもなく私達の先輩だ。
見たところ、三十代程だろうか?
年上の女性のハートまでもガッチリ掴んでしまう彼には、ある呼び名がついていたりする。
“毒紳男子”と――。
名前の通り、毒舌で紳士って意味だ。
誰が言い出したのかは定かではないが、言い出したひとは凄いと思う。だってまさに彼の呼び名として相応しいと思うから。
「おい、ひとを待たせておいて何突っ立ってるんだよ」
「え……わっ!?」
さっきまでは視線の先の方にいたというのに、いつの間にか目の前には例の毒紳男子こと、坂井君が不機嫌そうに腕を組んで立っていた。
近くにいる女性社員からは密かに黄色い声が聞こえてきているというのに、坂井君は気にする様子も見せず怒りに満ちた顔で、私を睨んでくる。
いつの間にか足は止まってしまい、彼の分析をしていると通りかかった女性社員は坂井君の姿を見つけると、私と同じように立ち止まってはコソコソと話し始めた。
「ちょっと坂井さんがいる!」
「いつ見てもカッコイイよね~!我が社の毒紳男子は!」
キャッキャッ言いながら話す彼女達は、紛れもなく私達の先輩だ。
見たところ、三十代程だろうか?
年上の女性のハートまでもガッチリ掴んでしまう彼には、ある呼び名がついていたりする。
“毒紳男子”と――。
名前の通り、毒舌で紳士って意味だ。
誰が言い出したのかは定かではないが、言い出したひとは凄いと思う。だってまさに彼の呼び名として相応しいと思うから。
「おい、ひとを待たせておいて何突っ立ってるんだよ」
「え……わっ!?」
さっきまでは視線の先の方にいたというのに、いつの間にか目の前には例の毒紳男子こと、坂井君が不機嫌そうに腕を組んで立っていた。
近くにいる女性社員からは密かに黄色い声が聞こえてきているというのに、坂井君は気にする様子も見せず怒りに満ちた顔で、私を睨んでくる。