毒舌紳士に攻略されて
彼女として両親とご対面
「着いた」
あれから車を走らせること数分。
気持ちを落ち着かせる時間を与えてもらえず、坂井君がシートベルトを外しているのを視界の隅で捉えながらも、動けずにいた。
どうしよう。さっきから緊張が止まらない。
だって今日まさか実家に連れてこられるとは、夢にも思わなかったし。
それに半ば……いや、完全に無理矢理連れてこられた感満載だし。
坂井君の両親は気になるものの、もうひとりの自分が訴えかけているように思えてならない。
“実家に行っちゃったら、色々とマズイんじゃないの?”って。
なんかうまく外堀から埋められている気がするし。
ここまで来ておいてそんなことをグルグルと考えてしまっていると、カチッと音がし顔を上げれば、いつの間にか坂井君の手によってシートベルトが外された。
そしてそのまま私に鋭い視線を送ってきた。
「まさか佐藤……ここまで来て“やっぱ帰る”なんて、言わねぇよな?」
「もっ、もちろん……」
有無を言わさぬ不気味な笑顔に、顔が引きつる。
あれから車を走らせること数分。
気持ちを落ち着かせる時間を与えてもらえず、坂井君がシートベルトを外しているのを視界の隅で捉えながらも、動けずにいた。
どうしよう。さっきから緊張が止まらない。
だって今日まさか実家に連れてこられるとは、夢にも思わなかったし。
それに半ば……いや、完全に無理矢理連れてこられた感満載だし。
坂井君の両親は気になるものの、もうひとりの自分が訴えかけているように思えてならない。
“実家に行っちゃったら、色々とマズイんじゃないの?”って。
なんかうまく外堀から埋められている気がするし。
ここまで来ておいてそんなことをグルグルと考えてしまっていると、カチッと音がし顔を上げれば、いつの間にか坂井君の手によってシートベルトが外された。
そしてそのまま私に鋭い視線を送ってきた。
「まさか佐藤……ここまで来て“やっぱ帰る”なんて、言わねぇよな?」
「もっ、もちろん……」
有無を言わさぬ不気味な笑顔に、顔が引きつる。