毒舌紳士に攻略されて
「いいえ!むしろ浮いた話なんてひとつもないですよ」

安心したのか、大きく息を吐いた。

「そうなの。安心したわ。主人は女性関係が激しい人だったから」

こうやってお母さんから直接聞いているというのに、いまだに信じられない。
顔も声も性格もそっくりなら尚更だ。

だけどお母さんはさらに信じられない話をしてきた。

「私なんて最初三番目の彼女だったのよ?」

「えっ!?」

三番目!?なにそれ!!

サラッと言われたけれど、驚きを隠せない。

「信じられないでしょ?他に付き合っている人がふたりもいたのに、無理矢理彼女にさせられちゃってね。普通に考えたらお断りするところだけど、主人は高校時代の先輩だったの。どうもこう……苦手で怖くて、逆らえなかったのよね」

うっ……!
すごく昔のお母さんと今の私の状況が重なって仕方ないのは、私だけだろうか?

「高校時代はもっと酷かったのよ?校内で見かけるたびに一緒にいる人が代わっていたし、すっごい毒舌で怖くて、先輩達でさえも脅かしていたし」

だんだんと昔を思い出してきたのか、お母さんの声に力が入っていく。

「だから余計に心配だったのよ。主人と似て元気までそうなってしまったらどうしようって。おかげで幼いうちから、嫌ってほど言い聞かせてきたわ。恋愛に対する心構えみたいなものを」
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