一駅の距離 〜貴方と私の時間〜
一駅目
【ドアが開きます。】

そんなアナウンスが駅に響く。

そのアナウンスを聞いて走り出すものもいる。

そんな中彼女【高橋 理沙】はどれにも当てはまらずドアが開くのを待っていた。

そして、ドアが開く。

彼女は何時もの定位置に座る。

そこは彼女専用ともなっている席。

誰かが座っていればその前に立つ。

そして、誰かが席を立つと理沙が座る。

そんな生活を送っていた。

理沙がそこを定位置としているのに理由はない。

しいて言うなら、降りるのに楽だから。

それだけだろう。

それ意外に理由はない。

と思っていたのはつい最近まで。

ある日理沙の幼馴染の1人である真理に言われた一言がすべての元凶だった。

その一言とは…。

「理沙あの人のことずっと見てるよね。好きなの?」

初めそう言われた時理沙は何が何だか分からなかった。

いきなり

ずっと見てる。



好きなの?

何て聞かれて驚かない人はいないだろう。

真理から言われた一言で全てが変わった。

電車に乗り定位置に座る。

いつもならぼーっとしているはずなのだが、どうしても見てしまう。

言われたら意識してしまうものだ。

たとえ違うとしても。

そして、見ていて気付いことはいくつかある。

1つ:理沙が乗ってから一駅目で降りる

2つ:理沙と同じく定位置がある

そんなところだろう。

そして、理沙は彼が電車を降りて一駅目で降りる。

あとは歩くだけ。

駅からはそれ程遠くもない場所に理沙の通う高校がある。

その後は教室に入り、クラスメイトや幼馴染の真理と話すだけ。

それだけであっという間に時間が過ぎていく。
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