♡Cute Doctor♡
グランドに行くと人だかりができていた
「ちょっとすみません。どうしました?」
「俺が蹴ったボールがこいつの胸にあたって……」
彼が蹴ったのだろう。ボロボロ泣いていた
怪我をした彼は意識もハッキリしていた。
「分かった。落ち着いて。大丈夫だから。聞こえるかな?名前を言ってくれる?」
「森田健です。」
「ちょっと胸の音聞かせてね?服切るよ?」
服を切ると、少し赤くなった胸があった。
聴診器をあてると、私はすぐさま気づいた。
肺に穴が開いてるかもしれない。
「おい!おい!けんっ!華宮!けんが」
見ると彼の意識はなかった
「森田くん!?きこえる?森田くん!誰か急いで救急セットを教室から持ってきて!急いで!」
救急セット……それは一般的に知られているものではなく、メスやサテンスキーなどの医療用具が入っている。
そして、私は婚約者であり医者である、希成に電話した
「きなりっ!サッカーの途中でボールが胸を強打し、意識不明の男子がいるの!肺に穴が開いてる可能性が高い!どうしよう!」
「落ち着け、ここ。いつものお前はどこにいった?お前ならできるドクターヘリで今から行くからちゃんと処置しておくんだできるな?」
「でもっ、ここはオペ室じゃないし…それ
に…」「でも、道具も医者もそろってる。ここ。お前がやるしかないんだ。その子を助けられるのはお前だけなんだぞ?」
私は震える手を握りしめ目を閉じた。
できる。できる。
そう自分に言い聞かせ、深呼吸をして目を開けた。
「わかった。やる」
きなりはよしと言って電話をきった
「今から緊急オペを行います。誰か懐中電灯でもいいので明かりを下さい。15分ほどでドクターヘリが来ます。運動場を開けて、消防の指示に従ってください。」
「わかった。」
「それでは始めます!」
それから、生徒の見守る中オペが始まった。
はじめは緊張してたけど、そのうち集中できた。
まもなくしてきなりがきた。
「よくやった。後は任せとけ。頑張ったな!」
そう言って私の頭をなでた
それからきなりはヘリで病院にいった
飛び立った途端、私は地面に崩れ落ちた
親友の夢麻が駆け寄ってきた
涙が止まらなかった
怖くて怖くてどうしようもなかった。