もうこれ以上噛まないで




前を歩くタツキに誘導されるように、連れてこられたのは先週と同じ……少し町外れのラブホテル。



決して見た目は綺麗じゃないけれど、中は意外に広くてびっくりしたんだ。



「泊まってもいい?」



遠慮がちに聞くタツキに、一緒にいられる嬉しさが先に溢れてしまう。



でも、ダメだよ。



……そんな少年みたいに輝いた瞳を向けられたら、聞けなくなっちゃうよ。



だから……問えないまま、私の体を今日も彼は噛む。



愛おしそうに、何故か腕と背中。最近年齢のせいか少しだけ出来た腰のくびれにかけて。



丁寧に



何度も



歯を立てる。



< 10 / 28 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop