もうこれ以上噛まないで
初七日を終え……。
この……背中に残った痛みが消えないうちに。
行かなくちゃ。
まるでタツキの魂に呼ばれるかのように、私はあのワインバーへと向かっていた。
顔馴染みのマスターが一人の私を見つけると、優しくカウンターへと案内してくれる。
「急な事で……俺も驚いたけど」
そう、マスターは葬儀にも参列していたから事情を全て知っている。
もちろん……タツキの噛み癖、までは知らないとは思うけれど。
「あの……いつものワイン、ありますか?」