もうこれ以上噛まないで



思い出話を聞いてくれていたマスターが、大き目のワイングラスにたっぷりとあのワインを注ぎ、カタンとテーブルへ置いた。



お店で出していた薄い赤ワインとは違う。



揺れてもその色は変わらず、向こう側が透ける事も無い……血のワイン。



これを飲んだら良くなると、そんな事を信じていたんだろうか?



「どうしたの?」



……返事をすっかり忘れていた。



「私が答えたのは……」



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