もうこれ以上噛まないで



「朝顔?珍しいね……普通さ、バラとか、百合とか、チューリップとか……」



花は嫌いじゃない。



マスターの言った花も、もちろん綺麗だと思うし……好き。



だけど、朝顔は私にとって特別な存在。



一日のうち、朝だけしか咲かないなんて……そんな儚い美しさと、いっぱいに開いたときの堂々とした姿。



そうだね。



私が朝顔……なんて言うから、ひょっとして花束でも買おうとしてたタツキは困ったのかもしれないね。



あの日の表情を思い出しながら……私はワインを口にした。



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