もうこれ以上噛まないで



たかが一杯。



されど、濃い一杯で満たした体をタクシーに預け、鳴らない携帯を見つめる。



突然消えるなんて、ズルいから。



どれだけ想っても届かないのに



想いだけが夜空へ果てて行く。



今までは平気だった、殺風景な自分の部屋が異常に寂しい。



欲しい。



あの……甘くて、切ない痛みが。



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