もうこれ以上噛まないで
鏡に映ったそこには、いつもの茶色い斑点は無く……アルコールで火照った肌が傷に染み、赤みが広がっている。
そういえば、何針も縫った事のある人が、酔うと古傷が赤に染まるとか言っていたっけ。
鏡越しの私の背中。
そこには……自慢げに咲き誇る、朝顔の花が輝くように存在していた。
「……バカっ!!」
「優はあまり感情を表に出さないね?」
そう言っていたタツキに言い返すように、私は……生まれてこの方始めてかもしれないぐらいの大声で泣きじゃくった。
こんなプレゼント……反則だよ。
涙が止まらない。
だけど……ありがとう。
年月をかけて刻まれた傷跡は、きっともう消えないから。