獣(犯罪者)に愛された女子高生
今、目の前に居るこの女もきっとこの姿を見て恐れたのだろう。
俺が近寄れば悲鳴を上げ逃げる。
妙な着物を着ていても所詮こいつもあいつらとは変わらないのだ。
俺を嫌い、バケモノと呼ぶ。
「やだっ!来ないで!」
伸ばした手を振り払われても俺は引かなかった。
「や、やめッ…」
こいつらは、人間は何故涙する。俺は、悲しくない限り涙など見せないというのに…
「……何故泣く」
「え…?」
「女、何故泣く。理由を言え」
女の目から溢れ出る雫をすくい取りそう言った。
自分でも、どうしてなのか分からなかった。
ただなんとなく、この女が泣いているのを見たくなった。