獣(犯罪者)に愛された女子高生


「…あの、セイルさん」

「セイルでいい」

「………セイル、ここは何処なの?」



おずおずと尋ねたあたしに、セイルはキョトンとした顔をした。




「なにを意味の分からんことを言っている。あと先程から気になっていたが、その妙な着物はなんだ?」



み、妙?!

えっ、これ制服だよね?今時女子高生の制服だよね??


この人は何が言いたいの?つか、その服装の方が絶対妙だよね!その肩の毛皮はなんの動物なの!?クマ?イノシシ?それともオオカミ?



「これはヤマオオヌシの毛皮だ」

「あ、そうなんですか?なんだー、あたしはてっきりクマやオオカミの毛皮なのかと思っ…………」

「ヤマオオヌシはクマやオオカミみたいな小物とは別格の生き物だ」

「……へぇー」



ヤマオオヌシってなに?…てっ、あれれ?なんであたしの心の質問に答えてるんだ?



「さぁな。それより喰われたくないなら急げ」

「っ!!?」



…不思議だ。

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