イジワル副社長はウブな秘書を堪能したい
 ふたりがいるのは精々一年か半年。

 私の胃がそれまでもつだろうか。

「海外を含め出張には同行してもらうよ」

私がボーッと考え込んでいると、瑠海がとんでもないことを口にした。

「はあ?同行……?海外も?」

 思わず素っ頓狂な声を上げる私。

 だって、周りの秘書で海外まで同行する人なんていない。

 前田さんの時だってそうだった。

 海外出張なんて想定外だ。

「パリやアジア地域への出張も多い。雑務をこなす者が側にいないと仕事にならない」

瑠海の説明に眉根を寄せる。

 ちょっと待って。雑務をこなす?

 小間使いの間違いじゃないの!

「何か問題でも?」

 私が黙り込むと、瑠海が口角を上げた。
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